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『檜 影』(’50年7月25日発行)から、伊藤 保著『歌集・仰 日』の感想文である武田尊市の 「『仰日』を読む」を紹介!

 投稿者:  滝尾 英二メール  投稿日:2008年 2月11日(月)13時26分56秒
  通報 編集済
 
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『檜 影』二十五巻第五号(1950年7月25日発行)から、伊藤 保著『歌集・仰 日』の感想文である武田尊市の書いた「『仰 日』を読む」を紹介【中】


                  人権図書館・広島青丘文庫  主宰 滝尾英二


 <『檜 影』二十五巻第五号(1950年7月25日発行)六・七月合併号から、伊藤 保著『歌集・仰 日』の感想文である武田尊市の書いた「『仰 日』を読む」を紹介したいと思います。


    『仰 日』を 読 む                  武 田 尊 市

 伊藤氏の処女歌集「仰 日」が恵楓園当局の同情と九州アララギ会の支援により刊行せられた事は私等同好の者にとり喜びに耐へない所である。本集には、斉藤茂吉、土屋文明両先生の序歌と序文を賜り一層の重みを加へてゐる。

 本集は著者が発病して恵楓園に入園する輸送列車上の作

  一度は世に出づることのあらむかも われ商の書手放さず

の一首に始まってゐる。著者を後記にある様に「苦悩のうちに一夜明けて仰いだ阿蘇山の白煙噴く悠久の山客は象徴的で魂に沁みて来る様でありました」「始め暫くは総ての在園者が味ふ様に言はれぬ念ひに沈みました」。

 斯う言ふ気持は私等にも十分想像出来る。絶望し切れない心の交錯する著者が商書を手放さないでゐる姿を髣髴しながら此の歌を味はへば、悲劇的な本歌集の内容を暗示してゐる様に思はれる。

 此の一首に端を発する著者の園内生活は種々の色調を以つて所収四万六十七首(四百六十七首=滝尾)の歌に表白されてゐるのであつて遂次頁を繰るに従ひ、作者の精神生活と同時にその歌境が、如何に高められ浄められて行つたかを具体的に知る事が出来生活と歌の微妙な関係が会得される。


 本集の歌は、自然眼目矚日のもの、妻との相聞に類するもの、病苦を直接詠嘆せるもの、それらの風有るものを綜合して一段と高処に立つ宗教的の歌と大別する事が出来る。

  茅萱のはな穂に出てひとつの丘白し 今年も同じくなびきつつ居り
  けふの日の暑さは過ぎて夕露の のぼれる百合はしたりて居り
  一つ鴨鳴けばつぎつぎ鴨鳴きて 萱中の中のこゑしきりなる

これ等のものに籠る繊細な感覚は矢張病人のもので、健康者の歌とは微細な所で異つてゐると思ふ。

  歯朶の葉の露こまごまと朝あけて 日々に色濃き葉鶏頭を見し
  中空に月はまどけくなりゆきて 日頃見し山に背の峰が見ゆ
  雨となりてひと山明るき楢若葉 風に吹かれて蒔波の見るゆ
    あたたかに今日は霧降りくれなゐの 大き牡丹の花開きけり

あるものは新鮮な季節感を蔵し、或るものは豊麗な美を湛へてゐる。

  けふひと日阿蘇山見えず雲の中にて 底ごもり鳴る吹雪するらし
  はるかなる日向の山並に雪の降り 澄みきはまれる空は瞑しも

山岳の荘厳さ虚空の静寂が重厚なひびきを以つて表はされてゐる。現実に立向かつてたじろがない作者の一面を示すものであろう。この傾向はまた

  響して地震すぐるとき標本瓶に 嬰児ら揺るるなかの亡き吾子

にも通ずるものと言へよう。妻との相聞には虔ましく可憐で素朴なものが多い。之はアララギで永年修練した結果でもあらうが、作者の性情に根ざすものと言へる。

  遅れ勝につきくる汝の幼くて 曙霜に濡れし身寄せぬ
  寄りそひて神に契りにゆく道の おろそかならず霙(みそれ=滝尾)ふるかも

恋愛初期の歌として、清潔であり、上乗のものである。作者の内省的でつつましい本領は争はれない。歌は斯くあるべしといふ定義を先行として読者の顔色を窺つてゐる間は、之等の歌の如き本音は表はれない。

  公民権復帰祝へる芝居今夜あり ひびき来る歌妻が声すも

遠く聞え来る妻の歌声に耳を澄ます病床の作者が愛情の情に耐えて居る姿である。


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【未完です。後半部分は後刻に掲載します。=滝尾】


 この文は、Ichiro先生のホームページ; および『滝尾英二的こころ』と『滝尾英二的こころPart2』の掲示板に掲載します。

                       ‘08年2月11日(月曜日) 午後1時12分

                  人権図書館・広島青丘文庫  主宰 滝尾英二


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